內容簡介
內容簡介 『太平記』は、南北朝期の四十年に及ぶ戦乱をともかくも描ききった、文字どおり希有の書である。しかし、四十巻という膨大な分量をもつことや、これに取り組む研究者が少ないことなどから、依然として基本的な部分での研究課題を積み残している。 『太平記』研究になお残る課題を少しずつでも解明することをめざし、『『太平記』をとらえる』を全三巻で刊行する。本書はその第三巻でシリーズ完結である。 第三巻では第一章「『太平記』における知の表現」、第二章「有力守護大名と歴史の表現」、第三章「書物としての探求」の三章を設け、六篇の論文と三篇のコラムを収録。執筆は森田貴之 張 静宇 ジェレミー・セーザ 和田琢磨 北村昌幸 今井正之助 小秋元段 長坂成行 鈴木孝庸。巻末には六篇の論文の英語・中国語・韓国語の要旨も収載。「二〇一五年度『太平記』研究国際集会」での研究発表をもとにした論集です。【例えば『太平記』研究では、表現の基底や挿入説話の典拠に依然不明な問題が多く残されている。また、同時代の争乱を描いた『太平記』は、眼前の情報をどのように収集し、記事化していったのか。これらの問題を明らかにすることは、『太平記』の成立論・作者論に新たな局面をもたらすことになるだろう。諸本研究にも課題は多く残されている。古態とされる伝本を再吟味することによって、私たちの『太平記』のイメージは少なからず修正を迫られるはずだ。加えて、これらとはやや次元を異にする問題であるが、国際化・情報化の進む研究環境のなかで、国内外の研究者がどうネットワークを構築し、課題を共有して解決に導くかについても、考えてゆかなければならない時期にさしかかっている。こうした様々な課題に少しずつ挑むことにより、つぎの時代の研究基盤を準備したいというのが、本シリーズのねらいである。】 はじめに―『太平記』における言葉の重み?▼小秋元段1●『太平記』における知の表現1 『太平記』の兵法談義―その位置づけをめぐって―▼森田貴之 はじめに 1 『太平記』の展開と謀、兵法 2 二つの知 3 背水の陣 4 おわりに―「機」と兵法2 『太平記』巻三十七「楊貴妃事」と『詩人玉屑』▼張 静宇 1 はじめに 2 日本における『詩人玉屑』の受容 3 巻三十七「楊貴妃事」と『詩人玉屑』 4 まとめ ●コラム 南北朝時代の重要性と世界文学としての『太平記』▼ジェレミー・セーザ2●有力守護大名と歴史の表現1 今川了俊と『太平記』▼和田琢磨 1 はじめに 2 了俊の姿勢─『太平記』をどのように読んでいたか─ 3 了俊が目にした『太平記』─了俊は全巻を読んでいたのか─ 4 おわりに2 『太平記』の情報操作―山名父子の離反をめぐって―▼北村昌幸 1 はじめに 2 貞和五年の政変と山名時氏─巻二十七の本文溯源─ 3 観応の擾乱と山名時氏─史実との落差─ 4 文和年間の山名父子離反─作為の可能性─ 5 山名一族に向けられた視線─贔屓か批判か─ 6 おわりに●コラム 『太平記』の「左馬頭」―予稿―▼今井正之助 はじめに 1 鎌倉管領足利左馬頭義詮の発言 2 「左馬頭」義詮 3 直義と義詮3●書物としての探求1 神田本『太平記』の表記に関する覚書―片仮名・平仮名混用と濁点使用を中心に―▼小秋元段 1 はじめに 2 片仮名・平仮名混用の淵源 3 神田本『太平記』の表記法の全体像 4 片仮名・平仮名使用の実態 5 他資料の状況 6 濁点の使用 7 むすび2 北畠文庫旧蔵本『太平記』管見▼長坂成行 1 北畠文庫旧蔵本について、先行する知見 2 書誌の概略 3 附属資料三点 4 筆跡について 5 現存の冊数についての不審 6 北畠治房について 7 本文系統について 8 主な書き込み・貼紙等について 9 結び<