Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想 | 誠品線上

Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想

作者 保阪正康/著;
出版社 日本出版販売株式会社
商品描述 Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想:,「蒸気機関車は六輛ほどの車輌を率いながら走っている。僕とすすむさんは最後尾の客車のデッキに立ちながら、木製の扉の前に身を

內容簡介

內容簡介 「蒸気機関車は六輛ほどの車輌を率いながら走っている。僕とすすむさんは最後尾の客車のデッキに立ちながら、木製の扉の前に身を寄せていた。通勤の大人たち数人がやはりデッキに立っていて、新聞を読んだり、タバコの煙を吐きだしたりしている。 誰も口をきかず、列車の揺れに身を任せていた。」昭和27年春、札幌の中学に通うため汽車に乗った二人の少年は、30年余を経たのちに再会します。ひとりは気鋭のノンフィクション作家になり、ひとりは学生運動の闘士から経済学者、さらには保守的思想家へと転じていました。再会してから30年、突然の別れがやってきます。すすむさん=Nが自裁したのです。「斎場の隅にいる私たちのところに近づいてきたのは、Nの兄のMさんであった。 ああそういえばもう六十年以上も会っていない。しかしその面差しは依然として柔らかく、そして人を包みこむようであった。外套を脱ぐなり、握手を求めてきて、私の顔を見るなりその穏和な顔に涙が流れるのを隠そうとしなかった。私も涙が止まらなくなった。 「十三歳のときからの友だちだったんだからね……」 Mさんの言葉に、私のなかで耐えていたものが一気に爆発した。 私は人目も憚らず涙を流しつづけた。そして二人でふたたび棺に近づき、蓋を開けてもらい、その顔を見つめつづけた。いっしょに見ていると、表情は動き出しそうで、目を細めて口を尖らせて、吃音気味に話すあのころに戻ったように感じられた。私はMさんと札幌の、白石と厚別の思い出話を、Nに聞こえるように、なんどもくりかえすように話しつづけた。私はNが亡くなったとの報に接してから初めて、悲嘆という感情に触れた。」あのときのすすむさん=Nの眼に映じていたものはなんだったのか……。不意にいくつかの光景がきれぎれに甦り、その呟きを心耳にふたたび聞いた著者はさながら廻廊を経めぐるように思いを深め、60年の歳月を往還しながら友の内実に触れるべく筆を進めていくのです 昭和27年の春、汽車通学の僕たちは出会った……。不意に甦る光景と彼の呟き。60年の歳月を往還し、自裁を遂げた友の内実に迫る。

作者介紹

作者介紹 保阪正康保阪正康 (ほさか・まさやす)1939(昭和14)年北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒業。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで約4000人から証言を得ている。『昭和の怪物 七つの謎』(講談社現代新書)、『あの戦争は何だったのか』(講談社文庫)、『昭和史の大河を往く』シリーズ(毎日新聞社)など著書多数。

商品規格

書名 / Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想
作者 / 保阪正康 著;
簡介 / Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想:,「蒸気機関車は六輛ほどの車輌を率いながら走っている。僕とすすむさんは最後尾の客車のデッキに立ちながら、木製の扉の前に身を
出版社 / 日本出版販売株式会社
ISBN13 / 9784065306932
ISBN10 /
EAN / 9784065306932
誠品26碼 /
裝訂 / P:平裝
頁數 / 264
語言 / 4:日文
級別 / N:無
尺寸 / 19.5X14.0X2.3CM

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