內容簡介
內容簡介 ライプニッツの『弁神論』(1710年)は,ヴォルテールやカントによって誤解され,哲学史の中で長らく正当に評価されてこなかった。しかし本書では,『弁神論』が形而上学・認識論・倫理学・神学を統合した体系的な哲学書であり,近代哲学において決定的な役割を果たしたことを明らかにする。ライプニッツによれば,神は無限の可能世界の中から,最も調和のとれた世界を選択せざるを得なかった,と主張する。しかし「最善」とは単に善が最大化された状態ではなく,多様性と秩序,善と悪,自由と必然が最適に調和する状態を指す。彼の議論は,「数学的な論証」ではなく,「道徳的な論証」(=証明)を通じて最善世界の合理性を示す試みである。本書は,ライプニッツがどのように「最善世界説」を神の自由,倫理,世界の秩序と結びつけたのかを精緻に分析する。また本書は『弁神論』におけるライプニッツの議論を,その同時代の批判や受容史とともに分析する。ピエール・ベールの懐疑論に対し,ライプニッツが神の知恵と世界の秩序をどのように擁護したのかを詳述し,彼の「弁護的な側面」と「教説的な側面」の区別を明確にする。さらに18世紀フランスにおける「オプティミスム論争」やカント,ヘーゲルからの批判・評価などを取り上げ,ライプニッツ思想の歴史的意義を検証する。本書は,『弁神論』の理論的意義とその影響を読み解き,ライプニッツ研究のみならず,近代思想の展開を理解するための必読の書である。
作者介紹
作者介紹 酒井潔1950年生。京都大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了。文学博士(京都大学)。学習院大学名誉教授。 〔主要業績〕『ライプニッツの正義論』(法政大学出版局,2021),『ライプニッツ』[人と思想・新装版](清水書院,2014),『ライプニッツのモナド論とその射程』(知泉書館,2013),『世界と自我――ライプニッツ形而上学論攷』(創文社,1987),『ライプニッツ著作集・第II期』第1~3巻[共同監修・共訳](工作舎,2015–2018)。長綱啓典1975年生。学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程修了。博士(哲学)。日本大学文理学部哲学科准教授。 〔主要業績〕『ライプニッツにおける弁神論的思惟の根本動機』(晃洋書房,2011);『モナドから現存在へ――酒井潔教授退職記念献呈論集』[共編著](工作舎,2022);『ライプニッツ読本』[共編著](法政大学出版局,2012);『ライプニッツ著作集・第II期』第2巻[共訳](工作舎,2016)・第3巻[共訳](工作舎,2018)。