內容簡介
內容簡介 フッサールの「現象学すること」に即して現象学的方法を彫琢し,現象学者にとって思惟の自己変貌の経験構造を「超越論的経験論」として解釈することにより,現象学の分析主題となることを明らかにする。フッサールはカントの超越論哲学における認識論の構造を批判的に解体し自らの哲学的立場を形成した。彼がカントから継承し,カントとは異なる概念として提示したのが超越論性であった。カントにおける超越論性は,経験に依拠せずに純粋に理性からのみ獲得しうる,アプリオリな認識の領域に設定された。現象学における経験の構造解明は感性的経験として確認される。フッサールの感性的経験はカントの受容性としての感性とは異なり,先自我的な意識層において感性的与件を構造化しつつ,独自の綜合的役割を担う。その感性独自の綜合機能という意識の原事実において,発生的現象学による分析を通して,先自我的な感性的経験におけるヒュレーの生成と,自己意識の発生的起源が明らかにされる。フッサールの超越論性は感性的な経験に根ざした「生活世界のアプリオリ」であり,現象学者が自己意識の発生を問うことが,超越論的なものの発生を問うことになることが解明される。 序論 フッサールにおける〈超越論的経験〉という問題系第一節 フッサール現象学における〈超越論的経験〉への視座カントの超越論性 フッサールの超越論性第二節 ドゥルーズの「超越論的経験論」とは何かドゥルーズによるカント読解 ドゥルーズの「超越論的経験論」 フッサールの〈超越論的経験〉の諸特質第三節 本書の方法〈方法〉と〈事象〉の相即的運動 ハイデガー『存在と時間』第七節における現象学者の方法 本書の方法第四節 本書の構成第Ⅰ部 現象学的〈方法〉の転回へ――フッサール現象学の転回点としての受動性第一章 発生的現象学の〈方法〉の制約性―受動性概念の批判的検討を通じて第一節 発生的現象学の課題第二節 発生的現象学の〈方法〉――脱構築と再構成脱構築と再構成の関係 抽象化的反省としての脱構築第三節 受動性概念の多義性受容性と受動性 綜合の受動性 没自我的な受動性 流れの受動性第四節 結び第二章 発生的現象学の〈事象〉の両義性第一節 内的時間意識分析における絶対的意識の両義性絶対的意識の提示 『時間講義』補完テキストNr.54における絶対的意識第二節 原意識の両義性―与件の先現象性と体験の前現象性与件を原的に意識する原意識 前現象的体験としての原意識第三節 『ベルナウ草稿』における原プロセスの両義性第四節 結び第三章 後期フッサール思惟における受動性の問題第一節 連合と原連合第二節 意識流の即自存在の構成第三節 生ける現在と原受動性の問題受動的綜合における受動的志向性の働き 受動的綜合における衝動志向性の働き 原受動性としての絶対的時間化の解釈第四節 結び第四章 「生の現象学」の〈方法〉と〈事象〉第一節 非志向的で徹底化された「生の現象学」とは何か「生の現象学」の課題と〈方法〉 アンリによるフッサールの受動性批判第二節 フッサールからの応答『受動的綜合』の課題と分析内実の乖離 フッサール発生的現象学の「生の現象学」的解釈第三節 「生の現象学」の批判的検討アンリ的生の制限性 キネステーゼ的能力可能性としての内在第四節 結び第五章 発生的現象学の実践的転回第一節 受動的生の実践的転回の試み受動的生の実践的転回の動機づけ 触発の価値論的解釈第二節 フッサール倫理思想における志向性の実践的役割受動的志向性の実践哲学的解釈 感情道徳学派に対するフッサールの評価第三節 愛の現象学愛の志向的性格の独自性 愛の価値発見的作用――シェーラーの「愛―憎の現象学」 フッサール人間学における愛の問題第四節 結び第Ⅱ部 現象学的〈方法〉の転回から――「超越論的経験論」としてのフッサール現象学