內容簡介
內容簡介 幕末の開国から昭和初期に掛けて日本は、激動の100 年を歩んだ。長い泰平の眠りから覚めるや否や、政治、経済、文化、思想のすべてに渡って、急激な変革をおこし、近代国家へと奇跡的な飛躍を成し遂げたのである。必死で西洋列国に追いつけ追い越せと、無我夢中に、がむしゃらにつきすすんだ右肩上がりの時代であった。文化的に見ても、明治維新、文明開化、欧化主義、殖産興業、国粋主義、大正デモクラシー、大正ロマン、昭和モダンとめまぐるしく変化する時代背景の中、西洋から怒涛の如く流れ込んできた西洋文化と日本の伝統文化とが、ある時は反発しながら、ある時は融合しながら、独特の折衷文化を築いてきた。その時代の活気あふれる文化の変遷を一目で俯瞰するのは困難ではあるが、商業活動にかかわる創作物から、時代の雰囲気を強く感じ取る事ができるのではないだろうか。 具体的には、商品パッケージやラベル等の意匠類、ポスターや引札等の広告類を対象に、そこに施された素晴らしい図案、グラフィックデザインを刮目する事で、その事を実現したい。それらのものは、絵画や工芸品のように、後世に残すために作られたものではなく、当時に生きる人々に直接的に訴えて、商品自体を瞬間的に輝かせることが目的であったはずである。それ故、時代の活力が凝縮されて詰め込まれている。 本書では、それら、エネルギーあふれる時代の残り香をまとった生き証人たちを、「浪漫図案」と定義し、ロマンに満ちた時代の雰囲気を紙面上に蘇らせたい。 それはまた、衣食住・娯楽などの社会史、浮世絵からビクトリア朝文様、アール・ヌーボー、アール・デコ、そして機能主義的なモダンデザインへと至るデザイン史、瓶やブリキ缶等の容器素材の進化、木版から銅版、石版、亜鉛版、アルミ版に至る印刷技術の進歩を振りかえる事でもある(学術的な掘り下げは、他の専門書に譲るところではあるが)。 ともあれ、横浜・神戸の外国人居留地で流通したラベルの大胆な構図、輸出用生糸ラベルにつけられた精緻なデザイン、ユーモラスでバラエティに富むマッチのラベル、西洋のアール・ヌーボーやアール・デコ様式に敏感に反応した化粧品のパッケージ、浮世絵手法の流れを汲む薬の広告類、舶来品の模倣から始まったビールや紙巻煙草のラベル、過度なまでの装飾で彩られた反物やお菓子のラベル等、魅力あふれる品々の夢の足跡を辿っていきたいと思う。 それにしても、その時代を生きたわけでない我々が「浪漫図案」に、懐かしさや温かさ、そして我が世の春的な心地よさを感じるのはなぜだろうか。まるで、前世にそれらのデザインに日常的に囲まれていたかの幻想を抱きながら、得体の知れない甘美なパワーに陶酔してしまいそうである。